皆さんこんにちは!インベストCEです。今日は高配当系ETFのQYLDをご紹介します!少し仕組みが複雑なので、できるだけ簡素にお話したいと思います!
さて、高配当系ETFと聞くと皆さんはどんなETFを思い浮かべますか?王道のVYMやHDV?もしくは少し変わったSPYD?色々な高配当系ETFがありますが、今日ご紹介するETFであるQYLDは数ある高配当系ETFとは一風変わった仕組みで運用されています。
通常のETFであれば、基本は原資産の詰め合わせのような商品が多数ですが、QYLDは違った仕組みで利益を出す運用を行っています。
QYLDを理解するにはオプションもある程度理解する必要がありますので、今日はオプションの話も絡めてお話していきたいと思います!
【QYLD】ってどんなETF?
QYLDの基本情報は以下の通りです。保有銘柄など詳しい情報はグローバルX社のHPをご覧ください!
- 運用会社:グローバルX社
- 投資先:NASDAQ100
- 設定日:2013年12月
- 配当金月:毎月
- 価格:22.55ドル
- 分配金利回り:12.38%
QYLDの運用会社は少し尖った商品が多いグローバルX社です。投資先はGAFAM詰め合わせパックのQQQと同じNASDAQ100。設定されてから7年ちょっとの歴史の浅いETFです。
配当金支払い月は珍しく毎月に設定されています。気になる配当利回りは驚異の12.38%!!
一瞬目を疑いたくなるような利回りですが、事実です。
この配当利回りの高さこそがQYLDの最大の魅力ですね!
しかし、旨い話には裏があるのが世のつきもの。しっかり仕組みを理解して投資をしたいですね。と、いうことでここからは少しQYLDを掘り下げて話を進めていきたいと思います。
気になる配当は?
さて、気になる配当ですが、配当金と利回りは下のグラフの通りです。
配当利回りは10%前後で推移していますが、配当金は安定せず前後していますね・・・。
配当の安定性には欠けていると言わざるを得ないようです・・・。
運用成績は?
続いて基準価格推移です・・・。
圧倒的な差が見られますが、上記グラフはQQQとQYLDを比較したものです。先ほど説明しましたが、QQQもQYLDも投資先は同じNASADQ100です。
まぁ、言わなくてもわかるかと思いますが、グラフの赤色がQQQ、青色がQYLDです。
どうですかね?QYLDは全く基準価格が伸びていません・・・。QQQに大差をつけらています。ちなみに配当を加味してもこのQQQとの溝は埋まることはなさそうです。
いやいや、とんでもないETFだな!!
と、思う方もいるかもしれません。だって、ここ数年間の好調下にあった米国市場でも基準価格が全く値上がりしていないのですから、この先も値上がりを期待するのは大変難しいものに思えてしまいますよね?
やはり、どうして同じ投資先なのに2つのETFで運用成績が違うのか?という仕組みを理解しなければ、到底買えそうもないETFです。
ここからは、QYLDの仕組みを考察していきたいと思います。
QYLDの仕組み
同じNASDAQ100に投資をしているにも関わらず、どうしてQQQとの運用成績にこれほどまでの差がでてしまったのでしょか?解らないものには投資するなの格言もあるくらいですから、しっかりと原理を学びたいと思います。
このQYLDは通常の投資ではあり得ない、ある一定以上の値上がりを放棄するという方法を取っています。この仕組みのために株価自体はあまり値を上げないんですね。
QYLDは『カバード・コール』という方法を取っています。『カバード・コール』ってなんですの(・・?って方が多い(私も含めて)と思われるので、少しカバード・コールについてお話します。
カバード・コールとは?
カバード・コールとは、ある原資産を保有しつつ、その原資産のコールオプションを売却する方法を言います。
たぶん『コールオプション』が解らない方もいると思うので、少しオプションについてお話します。私も当ブログのために勉強したので、一緒に理解を深めましょう!
オプションとは?
『オプション』とは、ある期日に、ある価格で、資産を売買する『権利』を売買することを言います。
・・・、わ、わかりにくい!!
例をあげます。今回はQYLDにも使用されているオプションの中でもコールオプションについてです。
Aさん『ねぇBさん、1か月後に〇〇株式会社の株を1株1200円で買える権利があるんだけど買わない?』
Bさん『〇〇株式会社か・・・。確かに勢いのある会社だ。今は1000円だが、1か月後は1200円では買えないかも』
Bさん『Aさん!ぜひその権利を買わせてくれ!!』
Aさん『Bさんはお目が高い!!ちなみにこの権利は100円だけどいいかな?』
Bさん『権利を買うのにもお金がいるのか・・・。100円ってことは、1か月後に1300円になっていれば元は取れるんだな。』
Bさん『わかった!100円で買おう!』
Aさん『毎度あり~~(^▽^)/』
~1か月後~
Bさん『うわ~、上がると思っていた〇〇株式会社の株価が今700円だよ。これを1200円で買ったら大損だ( ;∀;)』
Aさん『権利は放棄できるんやで?』
Bさん『Aさん本当かい!?じゃあ、買う権利は放棄するよ・・・。あれ?じゃあ、権利代の100円は?』
Aさん『返すわけないでしょ~(笑) これは私のも・う・け』
Bさん『くそ~。まぁ、でもまぁ、あの時現物で1000円で買っていても300円の損だったから100円の損で済んで良かったか』
Aさん『またのご利用お待ちしていま~す(⌒∇⌒)』
~さらに1か月後~
Aさん『Bさん、Bさん!今度は2か月後に△△株式会社の株を1500円で買える権利があるんだけど、どう?』
Bさん『この前はAさんには損をさせられたが、確かに△△株式会社は良い会社だよな・・・。上方修正もあり得るだろうし、1500円は安いかも』
Bさん『よし!Aさん、今回も買わせてもらうよ!』
Aさん『Bさんはやっぱりお目が高い!今回は期間も長いから200円だけどいいかな?』
Bさん『期間が長いと権利の価格も高いのか・・・。ということは、今回私が儲けを出すには2か月後に株価が1700円を超えていればいいんだな。1700円はきっと超えていくはず!』
Bさん『よし!200円で売ってくれ!!』
Aさん『毎度毎度あり~~(⌒∇⌒)』
~2か月後~
Bさん『ふふふ、思惑以上に株価が上昇!!2500円まで上がったぞ!これを1500円で買えるんだから、1000円の儲けだけど、権利代で200円払っているから、今回の儲けは800円だな(* ̄▽ ̄)フフフッ♪』
Aさん『あわわ、すごく株価が上がっちゃったよ。2500円の株を1500円でBさんに買わせなきゃいけないから、私は1000円の大損だ!でも、権利代は返さないから800円の損か・・・』
Bさん『さぁ、Aさん!△△株式会社の株を1500円で買わせてくれ!まさかとは思うが、嘘だったなんてことはないよな?』
Aさん『とほほ、こっちは放棄できないんだよな・・・。800円損するけどBさんに株を買わせなきゃ』
以上、権利を売買した2通りの例をお話ししました。まとめますね。
- オプションとは売買する権利を売買すること
- QYLDはコールオプションを使用している(売り方として)
- コールオプションとは原資産をある期日に、ある価格で買う権利のこと
- 権利の売り側は権利価格+オプション価格を株価が超えなければ儲けが出る
- 権利の買い側は権利価格+オプション価格を株価が超えれば儲けが出る
- 権利の買い側は権利の行使を放棄できる
- 権利の売り側は買い側が求めれば必ず権利を行使させる義務がるある
以上の内容が上記の例に詰まっていました!もう一度読み返すと理解が深まるかも・・・
さて、そこでQYLDはコールオプションを売り側として利用してます。そこで、コールオプションの売り側が利益がでる状況をグラフにしたのでご覧ください。
これは、現在価格1000円の〇〇株式会社の株を1か月後に1200円で買える権利が100円であった場合の売り側の損益ですね。
特徴として売り側の利益の最大値はオプション価格の100円を超えないというところでしょうか。権利を売った分だけが売り側の利益ということになります。
どうでしょうか?QYLDが利用しているコールオプションについて何となく理解できたでしょうか?オプションを深く理解すると投資の世界がさらに拡がるそうです!これを機に本格的にオプションを勉強しようと思いましたが、それはまた別の機会に・・・。
カバード・コール再来!
さて、QYLDの柱であるカバード・コールとはどんなものだったか覚えていますか?カバード・コールとは、
『ある原資産を保有しつつ、その原資産のコールオプションを売却する方法』
でしたね。単なるオプション取引と違う点は原資産を保有しつつというところです。
まずは、原資産のみ余裕している場合の損益を見てみましょう。例は先ほどと同じ〇〇株式会社です。
原資産のみでは、当然ですが損益は株価の変動に依存しますね。変動した分が損益です。
次にオプションのみの場合ですが、これは先述のコールオプションの売り側の損益グラフに一致します。
では、本題のカバード・コール戦術を使用した場合の損益はどうなるかというと、
いやいや何でそうなるの?と思った方のために、上のグラフを少し細かくしてみました。それが下のグラフです。
どうでしょうか?カバード・コール戦術の損益は原資産の損益+オプションの損益ということになります。株価上昇時には原資産の評価額は上昇しますが、オプションの損失が出てしまいます。権利行使価格+オプション価格以上に株価が上昇した際には株価上昇の利益を放棄した状態と言えます。
一方で、株価が下落した際には原資産の評価額は当然下落しますが、オプション価格の売却益があるので原資産よりも資産額の減少が軽微で済みます。
上昇時の株価の値上がり益を放棄する代わりに、下落時の耐性&オプションの売却益を確実にものにする戦略こそがQYLDが利用しているカバード・コールになります。
まぁ、なので配当の原資はオプションの売却益なんでしょうね。
QYLDはメインETFとなり得るか!?
QYLDは毎月配当金が出ますので、配当生活をしたい人には持ってこいなETFかもしれません。が、先にも見せましたが、同じ投資先のQQQとはキャピタルゲインでは雲泥の差です。配当金入れてもまだ及びません(;’∀’)
なので、正直主力ETFとしては弱いような気がしています。安定した配当が得られるのであれば、なくはないのですが、オプションの売却益が不安定な分配当自体も約束されたものではないでしょう。
ですので、QYLDはメインとはなかなかいかないかもしれませんが、QQQを持ちキャピタルを得ながらQYLDで配当をいただく。QQQは配当は残念ながら高くはないですもんね。いっそのこと半々で持って配当をくれるQQQ化してもいいかも・・・。
QQQだけではなく、VTだっていいだろうし、VOOだっていいでしょう。配当という形で今現在自分の持っているETFや個別株を補完する役目としてはQYLDは最適かなと思っています。
以前SPYDに良く知りもせず投資してコロナショックに見合い、含み損に耐えられず投げた経験があるので、今回はきちんと調べたうえで投資対象として決定しました。私はメインのETFにVIGを採用していますので、それを補完する形で今後QYLDを積み立てしていこうと思っています。
以上今回はQYLDの紹介でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました~。
※月並みですが、投資は自己責任にてお願いいたします<m(__)m>