【2865 東証版QYLD】高利回り!配当マシーンの実力や仕組みは!?

QYLDによるFIRE本が注目を集めているようです。私も東証版QYLDをちょこちょこ集めていますが、果たしてそれでFIREできるでしょうか?

2865もとい、QYLDは少々仕組みが複雑なので掻い摘んでお話し、FIREできるのかどうか検証したいと思います。

QYLDに関する記事はこちら👇

目次

2865 東証版QYLDとは?

2865とはグローバルX社が提供するETFであるQYLDを東証で購入できるようにしたETFとなっています。2865の概要は下記を参照してください👇

2865
  • Global X Nasdaq 100 Covered Call 
  • 取引通貨:日本円
  • 設定日:2022/9/28
  • 決算日:毎月10日
  • 純資産:10.3億円
  • 運用管理費:0.6275%
  • 分配頻度:毎月分配

2865の特筆すべき点は毎月分配、さらに分配利回りが高利回りであるという点です。直近の税引き後の利回りは約8.94%となっています。

これだけ聞くと、とても魅力的に聞こえますが、投資界隈では旨い話には裏があるのが定説ですね。2865にも当然高利回りたる由縁があります。それはカバード・コールというオプション取引を活用していることです。

理解していないものには投資をするなという格言がありますが、2865に投資をするにはオプションをまず理解しなくてはならないようです。

オプションについてまとめた記事がありますので、興味ある方は下記記事をご覧ください👇

コールオプションの性質

2865や本家QYLDはカバード・コールという投資手法を用いています。コールとはオプション用語で、予め決められた値段で買う権利のことです。

では、カバード・コールになるとどういう意味を持つようになるかというと、原資産(2865やQYLDの場合はNASDAQ100)と同一資産のオプションのコールの売りポジションを持つということです。

はい、意味がわかりませんね。少し、オプションの中のコールを掻い摘んでお話します。

まずは、原資産のみを持っていた場合の損益図は下記のようになるかと思います👇

価格が1000円の物が1200円になれば200円の利益、800円になれば200円の損失。とても分かりやすいですね。では、コールの売りポジションの損益図はというと👇

という損益図になります。これは、オプションの売りポジションはプレミアムという言わば手数料のようなもののみが利益となるからです。

オプションの買い手は必ず売り手にプレミアムを支払います。売り手はこのプレミアムを必ず受け取れます。

この必ずという点に注意です。オプションの買い手は自分が不利になったら取引を取り消すことができます。ただし、売り手に支払ったプレミアムは返ってきません。

つまり売り手は取引が途中で取り消されてもプレミアムは確実に受け取れるということになっています。

コールの買い手はこれから原資産が上昇することを予想している人たちです。今現在1000円の原資産が1か月後に1200円になると予想している場合、1か月後に1100円で買える権利を買うのです。

いやいや、上昇するとわかっていれば原資産買えばいいじゃん。

と思いますよね?

確かにそうですが、価格の上下を正確に当てるのは中々難しいものです。上昇を予想していた価格が800円になってしまったら損失は200円になります。

そこで損失を抑えたい人たちはコールオプションを買い、予想に反して価格が下落した場合に取引を取り消すということをします。そうすれば、原資産のみだった場合の損失が200円だったのに対し、コールの買い手はプレミアム代のみの損失で済むということになります。

コールの買い手は損失がプレミアム代に限定され、利益は原資産価格の上昇度合に応じ青天井という精神安定剤を手に入れることができるというわけです。

では逆に2865や本家QYLDがとっているコールの売り手はというと、原資産価格が上昇すればするほどコールの買い手が安く権利を行使してきます。

原資産の価格が1200円になって、1100円で買う権利をコールの買い手に売っている場合1200円で買って1100円で買い手に売るということになるので、100円の損失が発生します。

ここで困ったことに売り手は取引を取り消すことができません。買い手が行使をしてきた権利は必ず履行する義務があります。つまり、原資産価格が上昇すればするほど、損失は無限大に増えていくということになります。

では価格が減少し、買い手が取引を取り消した場合はというと受け取ったプレミアムは返済する必要がないので、そのまま売り手の利益ということになります。

したがって、コールの売り手の損益図は上図に示したように利益一定、損失無限大ということになります。

カバード・コール

カバード・コールとはどういう手法だったか覚えていますか?

原資産と同一のコールオプションを売るという手法でした。ということは、損益図はどうなると思いますか?単純に先ほど示した2つの図を合わせてたものになります。

青が原資産価格の損益図、オレンジがコールオプションの損益です。ということで、グレーがカバードコールの損益図になります。

グレーのグラフに注目です。ある個所からグラフの値に変動がなくなります。これがQYLDが値上がり益を捨てているといわれる由縁です。

上のグラフは権利行使価格が1200円のコール、プレミアムが100円だった場合です。1000円だった原資産が1200円になると、カバード・コールの利益は原資産分の200円と受け取った100円のプレミアムになります。合わせて300円の利益をなります。

原資産がさらに上昇し、1300円となると、原資産分の利益は300円ですがコールの買い手に1200円で権利行使されるので、オプションで100円の損失が出ます。しかしプレミアムを100円受け取っているので、300-100+100=300円の利益となります。

したがってカバード・コールを利用した取引の場合、原資産上昇分の利益をコールの売りがすっ飛ばすため、権利行使価格以上に原資産価格が上昇すると利益は一定となってしまいます。

まぁ、確実に利益を得られるのであれば文句はないでしょう。が、カバード・コールで最大の問題点は次にあげるものだと個人的には思っています。

カバード・コールの下落耐性は?

カバード・コールは原資産価格が上昇した分の利益を捨てているというところまでお話しました。ただ、安定した利益があるなら安定運用にはもってこいで、FIRE本にあったようにFIREもできそうな気がします。

しかし、相場は常に凪ではなく、荒れ狂う時も当然あります。そんな時にもしっかりとした利益を確保できるのでしょうか?

さきほど表示したカバード・コールの損益図では原資産価格が下落すると、しっかりカバード・コールの損失も比例して拡大していきます。プレミアムを受け取っているので、原資産のみの場合に比べると多少損失は薄まりますが原資産の価格減少が拡大すればプレミアムでのカバー効果も薄くなります。

では問題の本家QYLDの価格推移を見てみましょう👇

運用が開始された2013/12/12以降のQYLDの価格推移です。配当は含んでいません。QYLD自体の価格は30%以上の下落ということになります。

この間原資産であるNASDAQ100との比較はこちら👇

圧倒的な差ですね。QYLDに投資する意味はこのグラフからは全く感じ取れません。2865やQYLDは高配当が非常に魅力で、個別株では最近の海運系のようなことが起きない限り得られないような配当利回りになっています。

QYLDの全期間トータルの配当は約$21.3でした。これを基にQYLDのトータル損益を出すと、2/17時点では+51.6%となります。

トータルでの損失は出ていませんが、それでもQQQを持っていた方がはるかに利益は得られた結果です。つまりこの期間はQYLDなんか持たずQQQを持っていれば持っていればよかったというこになりますね。

2865やQYLDの投資タイミング

では2865やQYLDといったカバード・コールを用いた投資法は全くダメかというとそうではありません。カバードコールには輝けるタイミングが実はあります。

それは、先ほど表示したカバード・コール損益図の原資産価格1000円~1200円のラインです。この間の利益はカバード・コールが一番高くなっています。つまり、上りもしない下がりもしないレンジ相場のようなときにカバード・コールを用いた投資手法は活きてきます。

相場は7割がレンジ相場と良く言いますが、ことNASDAQはこれが当てはまらずに常にトレンド相場のような値動きが大きかったため、QYLDにとっては不利な投資環境だったと言えるでしょう。

FIRE本の批判コメントには価格が30%以上も下落しているとかがありましたが、確かに全期間ではその通りですが、NASDAQが大きく落ち始める2022年初のころまでは-10%程度の下落でした。配当も加味した損益は約+60%と成績も及第点かなと。

そこから原資産であるNASDAQ100が大きく値を下げます。これに引っ張られる形でQYLDも値を下げていくことになります。2022年初からの比較がこちら👇

ほぼ同じような経過をたどっています。QQQに比べやや下落は抑え気味(プレミアム効果?)ですが、復調の兆しを見せる2022年7月からや2023年1月からの値上がりはやはりQQQに分があります。

ただこの間にQYLDは配当金が約$2.3ほどあったのでそれを加味した損失は-14.8%です。QQQに比し約10%程度勝っています。

というように、切り取り方次第ではQYLDにも投資妙味は湧いてきます。ただ、短期間であればこのような切り取りかもできませすが、やはり長期にわたって右肩上がりを続けてきたNASDAQとカバード・コールを用いたQYLDなどは少々相性が悪かったということに変わりはなさそう。

2865やQYLDはFIREに向いているか?

個人的には向いていないと思います。仕組みや価格推移云々の前に配当が全く安定しません👇

高い時では$0.5ほどで低い時には$0.1ほどです。業績の安定しない自営業なみに配当金に変動がありすぎます。それでも$0.2台が多いので、そこに照準を合わせてしまうと$0.1台だった月などは節約生活です。

キャッシュフローの改善には約に立つとは思いまが、照準を$0.1台に置かないと安心してFIREできないと思います。ただそれにはかなりの口数が必要ですし、さきほど言いましたが一度〇〇ショックのような大きい調整が入ると、それ以前の価格に戻らなくなっています。

となると配当利回りは10%をキープしたとしても、それはあくまで現時点での価格から算出された配当利回りで、自分が投資したときの価格の利回りではありません。

これらをふまえると、配当利回り10%をキープすることは難しく、FIREして配当金で生活するようになると再投資も難しく、支払われる配当金も安定せず目減りしていく可能性を考えるととても怖くてFIREはできません。

現金がたんまりあり、現金の減少を少なくしてFIREならそれも可能かと思いますが、QYLD1本でのFIREは長期間ではいつか破綻する可能性が高いと思います。

まとめとおまけ

2865やQYLDといった商品は仕組みが複雑なオプション手法であるカバード・コールを用いていました。

今回はその仕組みとそれを用いた商品が巷で話題のFIREに適しているのかということを自分なりに検討してみました。私は2865を毎月積み立てていますが、これはキャッシュフローの改善を目的としており、FIRE目的ではありません。

価格自体は減少してくことがほとんどであることは重々承知ですが、やはり高配当は人を引き付ける魅力があります。

一括購入ではなく、積み立てをすることで配当利回りも一括購入よりは高めをキープできるのではないかと考えています。いただいた配当は現在はそのまま2865の買い付けに使用していますが、もっとまとまった金額を頂けるようになったら、個別株の高配当株を検討しようと思っています。

2024年から新NISAが開始されれば、配当金にかかる税金も免除になるので、もし対象となるようであればさらにキャッシュフローが改善される見込みです。

この記事は2865やQYLDを積極的に勧めるの物でも、積極的に批判するものでもありませんが、2865やQYLDに興味があった人の一助になれれば幸いです。

最後に2022/9より運用が開始された2865の成績を貼っておきます👇

配当単価は当初7円でしたが、現在は9円です。平均配当利回りは税引き後約7.5%とまずまずといったところです。トータルで受けっとた配当が16000円程度で、評価損が20000円ほどなので運用成績自体はまだマイナス領域です。

今後プラスになってくることを期待してちょこちょこ積み増ししていこうかと思います。

最後まで御覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

アラフォー男子。
東北の僻地に赴任している末端の医療従事者。
2020年に本格的に投資の世界に参戦するも、直後にコロナショックに会う。
退かぬ!媚びぬ!顧みぬ!の精神で資産を築いていく過程を書いたブログです。

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